不登校へのスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの関わり
2021/07/28
不登校に関わるのは、学校の教員やフリースクールだけではありません。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも不登校に大きく関わっています。
まずどういう存在であるかを知っていただきたいと思います。
そして不登校にどのような関わりがあるかも。
不登校のお子様をお持ちのご家庭に、参考になるかと思います。
1. スクールカウンセラーとは
スクールカウンセラーの仕事の本質は児童生徒の心理的サポートにあります。
スクールカウンセラーという言葉は、広い意味と狭い意味とがあります。
広い意味では、あらゆる教育機関の相談室などに勤務する心理的支援の仕事をする人を指します。
ここでは、狭い意味の文部科学省の資格要件を満たしているスクールカウンセラーに話を絞ります。
この資格要件とは、次のいずれかです。
臨床心理士
公認心理師
精神科医
およそ8割は臨床心理士です。
臨床心理士の資格は難関です。
第1種か第2種大学院あるいは専門職大学院を修了し、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験に合格する必要があります。
1.1 役割
スクールカウンセラーは、生徒だけでなく保護者や教職員にも接し、以下の役割を果たします。
生徒に対して心理カウンセリング
保護者に対する助言・援助
教職員に対する助言・援助
1.2 配置率
文部科学省は、究極的にはすべての学校にスクールカウンセラーを配置することを目標としています。
しかし予算の制限や人材不足のために、かなり少ない状況です。
2016年においてスクールカウンセラーの人数は7,542人です。
スクールカウンセラーの配置率は以下の通りです。
小学校 58.5%
中学校 88.4%
1.3 歴史
スクールカウンセラーの配置は1995年に全国の154校にスクールカウンセラーが派遣されたのが始まりです。
スクールカウンセラー導入前は、担任や養護教諭や生徒指導教諭が生徒の心のケアを行ってきました。
つまり「教員」がすべて担当していたのです。
しかし、いじめ、不登校、虐待など問題が複雑化・多様化していきました。
授業準備などに忙しい教員では対応しきれなくなりました。
そこで臨床心理士の専門家が相談員として学校に派遣された、というわけです。
1.4 勤務形態
各地方自治体の募集要件に応じて非常勤の特別職として採用されます。
小中学校を中心に各々週1回4時間程度、定期的に派遣されます。
つまり幾つかの学校を掛け持ちして勤務するのが常態になっています。
私立高校で常勤で採用されるのは例外的です。
勤務時間中は、主に以下のような職務を行います。
相談室で面談
保健室・特別室登校の生徒を見る
家庭訪問
2. スクールソーシャルワーカーとは
スクールソーシャルワーカーの仕事の本質は家庭環境の改善等に係る福祉的サポートです。
スクールソーシャルワーカーの資格要件は、社会福祉士や精神保健福祉士です。
資格を取得したあと、スクールソーシャルワーク教育課程を修了します。
2.1 役割
スクールソーシャルワーカーは以下の役割を果たします。
個別事案における福祉機関等との連携
生活困窮者等自立支援に係る家庭への働きかけ
福祉の仕組みや活用等に関する教職員研修
2.2 人数
スクールソーシャルワーカーの歴史は新しいです。
2008年から配置されるようになりました。
2016年において人数は1,399人です。
同年のスクールカウンセラー7,542人に比べるとかなり少ないです。
2.3 歴史
文部科学省が2008年度から「スクールソーシャルワーカー活用事業」を開始したのが始まりです。
積極的な導入で成果を得た事例もあります。
しかしスクールソーシャルワーカーの活動内容の認知度が低いのが現実です。
2.4 勤務形態
配置型と派遣型があります。
配置型では配置された学校の職員として常勤します。
主流は派遣型です。
採用された市町村などの教育委員会が派遣の受け付け窓口となります。
そして問題解決の依頼があった学校に派遣されます。
3. 両者の共通点・違い・課題
3.1 共通点
文部科学省の報告で
「スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーを取り巻く状況」
として以下のことが挙げられています。
不登校
いじめ
自殺
児童虐待
子どもの貧困
こうした環境で生じる生徒の悩みや問題行動に対応する職務ということが共通点と言っていいでしょう。
また、仕事の性質として
保護者や教職員と利害関係が生じない「第三者性・外部性の確保」が重要、と言われます。
例えば教職員と「上司・部下の関係」なら、お互いに言いたいことも言えないですね。
それを避ける意味では非常勤という勤務形態は意味がある、といえるでしょう。
3.2 違い
スクールカウンセラーは「心理士」であり「心理相談」を行います。
基本的に環境への働きかけはしません。
スクールソーシャルワーカーは「福祉士」であり「福祉相談」に携わります。
基本的に心理面のアドバイスは行いません。
ただ、実際は明確に仕事分担はできまない、と考えた方が適切です。
スクールカウンセラーが児童相談所と連絡をとることもあれば、スクールソーシャルワーカーが心理面の相談をされることもあります。
元々はすべてを教員が行っていた仕事を、負担を軽くするために専門家の助力を得たのが実態です。
つまり、仕事の分担が大切なのではなく
教職と一体となってチームとして生徒をサポートすることが重要です。
3.3 課題
まずスクールカウンセラーの配置を増やすことが一番の課題です。
いじめ、不登校、虐待などの増加に伴い、スクールカウンセラーの相談業務が増えています。
相談体制は1校あたり平均週1回、4時間といった学校が多く、これでは不十分と感じられています。
スクールソーシャルワーカーは配置人数の少なさもありますが
活動内容が周知されていないことが一番の課題です。
活動は医療機関や、児童相談所、福祉事務所、警察など多くの機関と連携しています。
その仕事の幅広さゆえに逆に認知度を高めないと有効利用されない、という矛盾があります。
4. まとめ
スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーは、どちらも学校でのいじめ・不登校・虐待などの問題に対応します。
スクールカウンセラーは「心理職」です。
主に相談室で生徒の「心」の相談に対応します。
1校あたり平均週1回、4時間です。
スクールソーシャルワーカーは「福祉職」です。
「環境」を整えるために児童相談所や福祉事務所などと連携します。
教育委員会から必要に応じて学校に派遣されます。
共通する今後の課題は人数を増やすことと認知度を上げることにあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも不登校に大きく関わっています。
まずどういう存在であるかを知っていただきたいと思います。
そして不登校にどのような関わりがあるかも。
不登校のお子様をお持ちのご家庭に、参考になるかと思います。
1. スクールカウンセラーとは
スクールカウンセラーの仕事の本質は児童生徒の心理的サポートにあります。
スクールカウンセラーという言葉は、広い意味と狭い意味とがあります。
広い意味では、あらゆる教育機関の相談室などに勤務する心理的支援の仕事をする人を指します。
ここでは、狭い意味の文部科学省の資格要件を満たしているスクールカウンセラーに話を絞ります。
この資格要件とは、次のいずれかです。
臨床心理士
公認心理師
精神科医
およそ8割は臨床心理士です。
臨床心理士の資格は難関です。
第1種か第2種大学院あるいは専門職大学院を修了し、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験に合格する必要があります。
1.1 役割
スクールカウンセラーは、生徒だけでなく保護者や教職員にも接し、以下の役割を果たします。
生徒に対して心理カウンセリング
保護者に対する助言・援助
教職員に対する助言・援助
1.2 配置率
文部科学省は、究極的にはすべての学校にスクールカウンセラーを配置することを目標としています。
しかし予算の制限や人材不足のために、かなり少ない状況です。
2016年においてスクールカウンセラーの人数は7,542人です。
スクールカウンセラーの配置率は以下の通りです。
小学校 58.5%
中学校 88.4%
1.3 歴史
スクールカウンセラーの配置は1995年に全国の154校にスクールカウンセラーが派遣されたのが始まりです。
スクールカウンセラー導入前は、担任や養護教諭や生徒指導教諭が生徒の心のケアを行ってきました。
つまり「教員」がすべて担当していたのです。
しかし、いじめ、不登校、虐待など問題が複雑化・多様化していきました。
授業準備などに忙しい教員では対応しきれなくなりました。
そこで臨床心理士の専門家が相談員として学校に派遣された、というわけです。
1.4 勤務形態
各地方自治体の募集要件に応じて非常勤の特別職として採用されます。
小中学校を中心に各々週1回4時間程度、定期的に派遣されます。
つまり幾つかの学校を掛け持ちして勤務するのが常態になっています。
私立高校で常勤で採用されるのは例外的です。
勤務時間中は、主に以下のような職務を行います。
相談室で面談
保健室・特別室登校の生徒を見る
家庭訪問
2. スクールソーシャルワーカーとは
スクールソーシャルワーカーの仕事の本質は家庭環境の改善等に係る福祉的サポートです。
スクールソーシャルワーカーの資格要件は、社会福祉士や精神保健福祉士です。
資格を取得したあと、スクールソーシャルワーク教育課程を修了します。
2.1 役割
スクールソーシャルワーカーは以下の役割を果たします。
個別事案における福祉機関等との連携
生活困窮者等自立支援に係る家庭への働きかけ
福祉の仕組みや活用等に関する教職員研修
2.2 人数
スクールソーシャルワーカーの歴史は新しいです。
2008年から配置されるようになりました。
2016年において人数は1,399人です。
同年のスクールカウンセラー7,542人に比べるとかなり少ないです。
2.3 歴史
文部科学省が2008年度から「スクールソーシャルワーカー活用事業」を開始したのが始まりです。
積極的な導入で成果を得た事例もあります。
しかしスクールソーシャルワーカーの活動内容の認知度が低いのが現実です。
2.4 勤務形態
配置型と派遣型があります。
配置型では配置された学校の職員として常勤します。
主流は派遣型です。
採用された市町村などの教育委員会が派遣の受け付け窓口となります。
そして問題解決の依頼があった学校に派遣されます。
3. 両者の共通点・違い・課題
3.1 共通点
文部科学省の報告で
「スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーを取り巻く状況」
として以下のことが挙げられています。
不登校
いじめ
自殺
児童虐待
子どもの貧困
こうした環境で生じる生徒の悩みや問題行動に対応する職務ということが共通点と言っていいでしょう。
また、仕事の性質として
保護者や教職員と利害関係が生じない「第三者性・外部性の確保」が重要、と言われます。
例えば教職員と「上司・部下の関係」なら、お互いに言いたいことも言えないですね。
それを避ける意味では非常勤という勤務形態は意味がある、といえるでしょう。
3.2 違い
スクールカウンセラーは「心理士」であり「心理相談」を行います。
基本的に環境への働きかけはしません。
スクールソーシャルワーカーは「福祉士」であり「福祉相談」に携わります。
基本的に心理面のアドバイスは行いません。
ただ、実際は明確に仕事分担はできまない、と考えた方が適切です。
スクールカウンセラーが児童相談所と連絡をとることもあれば、スクールソーシャルワーカーが心理面の相談をされることもあります。
元々はすべてを教員が行っていた仕事を、負担を軽くするために専門家の助力を得たのが実態です。
つまり、仕事の分担が大切なのではなく
教職と一体となってチームとして生徒をサポートすることが重要です。
3.3 課題
まずスクールカウンセラーの配置を増やすことが一番の課題です。
いじめ、不登校、虐待などの増加に伴い、スクールカウンセラーの相談業務が増えています。
相談体制は1校あたり平均週1回、4時間といった学校が多く、これでは不十分と感じられています。
スクールソーシャルワーカーは配置人数の少なさもありますが
活動内容が周知されていないことが一番の課題です。
活動は医療機関や、児童相談所、福祉事務所、警察など多くの機関と連携しています。
その仕事の幅広さゆえに逆に認知度を高めないと有効利用されない、という矛盾があります。
4. まとめ
スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーは、どちらも学校でのいじめ・不登校・虐待などの問題に対応します。
スクールカウンセラーは「心理職」です。
主に相談室で生徒の「心」の相談に対応します。
1校あたり平均週1回、4時間です。
スクールソーシャルワーカーは「福祉職」です。
「環境」を整えるために児童相談所や福祉事務所などと連携します。
教育委員会から必要に応じて学校に派遣されます。
共通する今後の課題は人数を増やすことと認知度を上げることにあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
KG高等学院
目黒キャンパス
〒141-0021
東京都品川区上大崎2-11-2-3F
TEL:03-6455-7070
FAX:03-6432-5832
すべてのキャンパス/HP
KG高等学院・品川キャンパス
KG高等学院・目黒キャンパス
KG高等学院・成田キャンパス
中学生のフリースクール
ワイズアカデミー
品川キャンパス
目黒キャンパス
成田キャンパス
株式会社ワイズアカデミー
塾長・大森善郎のHP
ワイズアカデミー杯(囲碁)
善活のすすめ(慈善活動)
ビジネス英語道場