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オンラインの通信制高校とは?│言葉にだまされず本質を見分ける方法

2021/07/26

通信制高校でオンライン学習や指導があるのは特別なことでしょうか。
いいえ、殆どの通信制高校で普通に行っていることです。

オンラインは特別なことではないのです。
オンラインは問題解決の夢のツールではないのです。

そもそも、オンラインの通信制高校とは、どういう意味でしょうか。
カタカナ言葉は、皆がそれぞれ解釈が違うものです。

時には過大広告ともいえる表現を目にすることがあります。
言葉にだまされず本質を見分ける必要があります。

オンラインは高卒資格をとるまでのひとつの手段に過ぎないのです。
大切なのは手段ではなく、高卒資格をとるという結果です。
そこに焦点をあてて見ていきましょう。

1. 「オンラインだけで卒業」は誤り

オンラインだけで卒業できます、という表現があれば、それは不正確です。
高卒資格をとるには「面接指導」(スクーリング)が必須条件だからです。

面接指導は、実際に教員免許をもった先生の授業を受けることです。
だから「オンラインだけで卒業」は不適切な表現になります。

オンラインでレポート提出は出来るでしょう。
(というよりも、大抵の通信制高校でやっていることです)
しかしオンラインで面接指導は出来ないはずです。

確かにオンラインでの教科指導は可能です。
しかし、それは「塾の授業」と同じと考えてください。
オンライン授業は単位を修得するための面接指導にはならないのです。

参考までに、この背景を更に詳しく説明すると以下のようになります。

1.1 通信制高校の卒業条件

通信制高校で卒業するには次の3大条件を満たす必要があります。

3年間以上、高等学校に在籍すること
74単位以上、単位を修得すること
30時間以上、特別活動に参加すること
3年間在籍、これは分かりやすいですね。
特別活動はホームルームやイベントに参加することで消化されます。
もっとも大切なのは単位を修得することです。

1.2 オンラインではない授業が必須

単位を修得するには次の3大条件を満たすことが必要です。

レポートを期限までに提出する
面接指導を受ける(スクーリングに出席する)
単位認定試験に合格する
全日制高校に置き換えてみると分かりやすいです。
噛み砕いていえば以下のように表現できるでしょう。
「宿題を出して、授業に出て、テストに受かる」

いかがですか?
このように考えると全日制も通信制も基本条件は同じ、ということになります。
特に授業については教員免許を持った先生にオンラインでなく実際に授業を受けることが必須です。

ー 閑話休題 ー

ちなみに、全日制と通信制の一番大きな違いは何でしょうか?
それは授業時間(スクーリング時間)が通信制のほうが圧倒的に少ないことです。
その結果として、通学時間が少なくなり、自分の自由な活動の時間が増えるのです。

面接指導について、更に詳しくは別の投稿でご説明いたします。

2. オンラインが在宅コースを意味する場合

オンラインの通信制高校、という表現が通学しない「在宅コース」を意味する場合があります。
この場合、お子様に在宅コースが向いているかどうか、慎重に見極める必要があります。

在宅コースとは実際に教室で対面しての指導が無いコースということです。
対面の指導がなく、オンラインなので費用は安いです。

ただし自分で勉強を進める必要があります。
つまり、ひとりで勉強が進められるお子さんならば在宅コース(オンラインコース)でも大丈夫と言えます。

ただ、大半の生徒は一人で進められない、というのが現実です。
その場合、費用は高くても「通学コース」を選択して対面での指導を受けた方が良いでしょう。

2.1 在宅コース・通学コースとは

そもそも、なぜ在宅コース・通学コースと分けるのでしょうか。
その背景事情から説明をさせてください。

通信制高校というのは高等学校・通信制課程の通称です。
そして、高校の通信制課程というのは巷の通信教育と同じです。

たとえば、ペン習字や医療事務の資格は通信教育で人気がありますね。
通信教育の特徴は、教材を自宅で自習し、国家試験などのテストに合格することです。

通信制高校も基本は巷の通信教育と同じです。
「自宅で自習し」レポートを提出し、単位認定試験に合格するのですから。
(ただし、通信制高校は、これにスクーリングが加わります)

言うなれば高校の通信制課程で学ぶのは実質的に全員が在宅コースという状態だったわけです。

しかし、ひとりで学習を続けるのは大人でもやる気を維持するのが難しいです。
通信制高校を3年間で卒業できる生徒は、半数以下でした。
そこで2000年前後から「サポート校」と呼ばれる教育施設が増えてきました。

これは通信制高校から委託を受け、通信制の生徒に学習や進路指導を行う、塾のような存在です。
(実際、塾が副業的に昼間の空いている時間を利用するケースが多くあります)
塾ですから通信制高校とは別途の費用が必要となります。

しかし費用は高くなっても効果は抜群でした。
サポート校にも通う生徒の卒業率は90%を超えるのが普通です。
だから通信制高校の生徒が増え、サポート校も増えてきた、という歴史があります。

さて、ここで生徒の需要が二つの層に分かれることになります。

費用は高くても対面指導を受けたい
対面指導は無しで安くおさえたい
前者を通学コース、後者を在宅コースと呼ぶようになってきました。

在宅コースは教材を自分で勉強して紙の提出物を郵送、というスタイルでした。
近年はIT機器(スマホ・タブレット等)やネット環境が進歩しました。

そして教材も提出もネットを介して行うことが可能になりました。
そこで在宅コースがオンラインコースとも呼ばれるようになったのです。

オンラインコースはネットコースとも呼ばれることがあります。
ただ、本質的なポイントはひとつです。
対面での人による指導が無いコース、ということです。

3. オンラインは双方向で意味がある

3.1 一方向(受け身)のオンラインではダメ

オンラインに期待しすぎてはいけません。
私が高校生の学習塾を経営していたとき、オンライン配信授業を実際に使った経験をお伝えします。

大学受験予備校のオンライン配信の90分授業を取り入れてみました。
その結果は…大半の生徒は眠くなってしまいました。

次に短い45分授業が売りのシステムに変更しました。
やはり…大半の生徒は眠くなりました。

最後に1コマ3分授業のシステムを使ってみました。
生徒は眠くはならないですが先生の指導を求めました。

そうです、生徒はパソコンだけでは勉強が続かないのです。
生身の「人」の指導を求めるものなのです。

オンライン学習であればYou Tubeに良質の無料動画が大量にあります。
でも、それだけで成績が上がったという話は聞いたことがないです。

3.2 双方向のツールとして使ってこそ効果有り

私の娘の旦那さんは、私立大学の付属高校の教員です。
コロナ禍の2年くらい前から既に生徒にタブレットは行き渡っていました。

使い方は、オンライン学習や調べごとだけではありません。
課題の提出や、先生への質問、クラス内のコミュニケーション等にも使われてきました。
(その上で、教室での授業が行われてきました)

だからコロナ禍の緊急事態宣言で教室閉鎖になっても影響は最小限で済んだようです。
ポイントはタブレットが一方的な配信ではなく先生・生徒の双方向のコミュニケーションの道具として有効に使われてきたからと思われます。

4. まとめ

通信制高校が「オンラインを売り」にしている場合、次のことを確認しましょう。

課題提出がタブレット等で出来る、という意味なら、普通のことです。

オンラインが在宅コースを意味するならば、お子様に向いているかを見極めましょう。
ひとりでオンライン学習を続けるのは難しいことです。

オンラインが双方向のコミュニケーションの道具として使われている場合。
効果的な使い方ですが、それで成績が上がるわけではありません。

生徒は常に人による対面指導を求めているものです。
それを効率化するひとつの手段としてオンラインが存在するのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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