NHKドラマ「ひきこもり先生」と不登校の実態

2021/06/13

昨日6月12日(土)にスタートしたNHKのドラマ「ひきこもり先生」を見ました。
大変丁寧に取材して作られているな、というのが第一印象です。

最初に「不登校の理由は、生徒の数だけある」と述べていたのは、素晴らしいと思います。
正にその通りだからです。
私たちは「不登校の生徒は~」と決めつけたがる傾向にあります。

しかし子どもたちもひとりの人間であり、それぞれの人生のドラマを背負って生きています。
それを単純に想像して決めつけてはならない、と思います。

もちろんある程度のパターンとか環境条件もあります。
例えば家庭環境が恵まれていないとか、友人関係とか、外部環境とか。

しかし、例えば発達障害ひとつをとっても軽度から重度までグレーゾーンが広がっており、症状も様々です。
不登校の原因は「ひとつの理由ではなく複合要因」があり、「本人も理由が分からない」場合が多いと言っても良いと思います。

そして今日においては、学齢児の不登校だけではありません。
8050問題が脚光を浴び、着実に広がっているのではないでしょうか。

8050問題とは、80代の親が引きこもりで自立できないままで50代に至った子の面倒を見る、という問題です。
親の高齢化は確実に進み、いつかは生活が破綻してしまう恐れに直面している状態です。

このドラマの主人公は、そんな引きこもりの中年男性です。
演じている佐藤二朗は、実に良い演技をしていると思います。
不安な心理、動作をよく再現しています。

佐藤二朗はNHKの「土曜スタジオパーク」に出演し、主人公の心情を説明している際に、声をつまらせ、涙したと言います。
それだけ思い入れのある役柄というのは、ドラマを見ていてよく伝わってきました。

歩道橋から投身自殺を試みようとする中学生の女の子に「生きよう、生きよう」とだけ言葉を繰り返し、抱き支えるシーン。
この場面では涙が止まりませんでした。

ドラマゆえの誇張した表現も最小限におさえられ、実際の学校や家庭などの現場を巧みに再現したドラマだと思います。
来週の第二話も見逃せません。

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